第5回第6期芽室町総合計画審査特別委員会では第6期芽室町総合計画の基本構想(案)について、審査特別委員会で審査を行いました。

第6期総合計画の計画期間は、令和9年度(2027年度)から令和16年度(2034年度)までの8年間です。総合計画は、これからの芽室町がどのようなまちを目指し、限られた財源や人材をどこに振り向けていくのかを定める、町政運営の基本となる計画です。 資料1 基本構想の表紙から目標人口まで (10.5委員会用)

今回の審査では、すでに審査を終えている人口指標や土地利用を除き、主に「まちづくりの基本目標」「財政運営の方向」「政策の大綱」について確認しました。

5つの基本目標で今後のまちづくりを進める

第6期総合計画では、今後のまちづくりについて5つの基本目標が示されています。

  1. 農業を軸とした活力とにぎわいのあるまちづくり 
  2. 心豊かで輝く人と文化を育むまちづくり 
  3. 誰もが健康で自分らしく笑顔で暮らせるまちづくり 
  4. 自然と共生する災害に強い安全・安心のまちづくり 
  5. 住民と行政がともに考え未来へつなぐ自治のまちづくり

農業ではAI技術を活用したスマート農業や土地基盤整備、有害鳥獣対策などを進めるほか、農業と商工業、観光、食などを結び付け、地域経済全体の活性化を図ります。

教育・文化・スポーツ、保健医療、子育て、福祉、防災、公共交通、都市環境など、町民生活に関係する幅広い分野も位置付けられています。 資料1 基本構想の表紙から目標人口まで (10.5委員会用)

また、中心市街地については、起業やにぎわいづくり、居住環境の整備など、民間活力を活用した「まちなか再生」を進める考えも示されました。

大きく打ち出された「賢く縮む」という考え方

今回の基本構想で、特に注目したのが財政運営の方向です。

人口減少や物価高騰が続く一方、これまで整備してきた公共施設は老朽化し、更新や維持管理に必要となる費用も増えていきます。

こうした状況を踏まえ、基本構想には、

「人口減少社会に適応したスマートな行政経営(賢く縮むデザイン)」

への構造改革という、かなり踏み込んだ考え方が示されました。 資料1 基本構想の表紙から目標人口まで (10.5委員会用)

「賢く縮む」という言葉だけを見ると、行政サービスを単純に減らしていくようにも感じます。

しかし、人口も職員も財源も限られていく中では、これまでの事業をすべて同じように続けることは難しくなります。

何を維持するのか。何を充実させるのか。そして、役割を終えたものは何を縮小・廃止するのか。

これらを判断しながら、必要性や効果の高い分野へ限られた資源を振り向けていくことが、これまで以上に重要になります。

スクラップ&ビルドをどう実行するのか

基本構想には、

「公共施設の統廃合・集約化や事務事業のスクラップ&ビルドを計画的に実施し、将来の経費総量を物理的に削減する」

ことも明記されています。 資料1 基本構想の表紙から目標人口まで (10.5委員会用)

委員会では、このスクラップ&ビルドを誰が責任を持って進めるのかという質疑がありました。

町からは、政策推進課が指令塔となって調整するとの説明がありました。

新しい事業を実施する際には財源確保を前提として実行計画に位置付け、その過程で既存事業についても確認。役割を終えた事業については縮小などを判断し、政策推進課が調整した上で、最終的には町長が方向性を決定していくという考えです。

今後は「新しく何を始めたのか」だけでなく、「何を見直したのか」「何をやめたのか」も行政経営の成果として見ていく必要があると感じます。

地方債には「負債額の上限ルール」も

もう一つ、今後注目していきたいのが町の借金、地方債です。

基本構想では、施設の建設時だけではなく、維持管理から解体までを含めたライフサイクルコストで投資を評価するとしています。

さらに、

「一人当たり負債額の急増に歯止めをかけるため、地方債の発行抑制や負債額の上限ルールを設け、予算編成に厳格に連動させる」

という方針まで示されました。 資料1 基本構想の表紙から目標人口まで (10.5委員会用)

基本構想としてはかなり具体的な表現です。

一方、今回の審査では、具体的にどの指標を使い、どの程度を「上限」とするのかまでは明らかになっていません。

今後、大きな公共投資を判断していく上でも重要な基準になるため、実施計画や予算審査の中で確認していきたいポイントです。

町内会だけではない「新たなコミュニティ」

もう一つ注目したのが、地域コミュニティについての考え方です。

基本構想では、少子高齢化や人口減少が進む中で、

「従来の地域組織だけではなく、多様な主体の参画や分野別・テーマ別活動の支援など、新たなコミュニティ形成を促進する」

という方向性が示されました。

さらに、行政についても「コーディネート機能を強化」し、柔軟で実効性のある地域運営を支える仕組みづくりを進めるとしています。

町内会など従来の地縁型組織はもちろん重要です。

一方で、地域活動への参加の仕方も多様になっています。若い世代や町内会に加入していない人も、子育て、防災、環境、スポーツなど、それぞれの関心やテーマをきっかけに地域に関わることができる仕組みも必要になってきます。

第6期では、「行政がコーディネートする」という言葉を具体的にどのような仕組みにしていくのか、今後の議論に注目したいところです。

計画は「作って終わり」ではなく、成果を見る

農業分野では、AI技術を活用したスマート農業の推進も位置付けられています。 資料1 基本構想の表紙から目標人口まで (10.5委員会用)

こうした政策についても、単に「機械を何台導入した」「何件支援した」という実績だけではなく、

農作業時間がどれだけ減ったのか。
生産性は上がったのか。
農業所得につながったのか。

といった、実際に地域や町民にどのような変化が生まれたのかを見ることが重要だと考えています。

これは農業に限りません。

第6期総合計画全体について、「何を実施したか」という活動量だけではなく、その政策によって何が変わったのかという成果(アウトカム)を重視して検証していくことが必要です。

これからは「実施計画」が重要に

今回審査したのは、今後8年間の大きな方向性を示す「基本構想」です。

基本構想には「賢く縮む」「スクラップ&ビルド」「負債額の上限ルール」「新たなコミュニティ形成」など、人口減少時代を見据えた踏み込んだ言葉が並びました。

一方で、本当に重要なのは、これらを具体的な事業、数値目標、予算にどう落とし込むのかです。

人口が減少する時代だからこそ、単純にすべてを縮小するのではなく、必要なものにはしっかり投資する。そのために役割を終えたものを見直し、限られた財源と人材を再配分する。

第6期総合計画が掲げる方向性が、実際の町政運営にどう反映されるのか。

今後は実施計画や毎年度の予算・決算を通じて、「計画に書いてあるか」ではなく「実際に町がどう変わったか」という視点で確認していきたいと思います。