9月定例会議初日の本会議では、議員定数を現在の16人から15人へ変更する「芽室町議会基本条例中一部改正案」が議員提案されました。

この議案については、多くの議員から質疑があり、その後、賛成・反対双方から討論が行われました。

採決の結果は、賛成少数で否決

したがって、次期一般選挙においても、現行の議員定数16人が維持されることになります。

ただ、今回の議論は単純に、

「16人がいいのか、15人がいいのか」

という人数だけの問題ではありませんでした。

私が今回の議論で重要だったと考えているのは、

「議会が町民との対話や外部有識者からの答申を踏まえて一度出した結論を、どのような根拠とプロセスがあれば変更できるのか」

という点です。

今回は、その本会議での議論を少し詳しく振り返ります。

そもそも、なぜ「16人」としていたのか

芽室町議会では、議員のなり手不足などを背景として、議員定数と議員報酬のあり方について、約2年間にわたり検討を続けてきました。

議会内部だけで結論を出したわけではありません。

町民との意見交換を行い、議員間でも議論し、さらに議会改革諮問会議にも諮問しました。

その結果、議員定数については現行の16人を維持する方向で整理されました。

議会改革諮問会議からも16人を是とする答申が出されています。

一方、その答申には、

次期選挙が無投票や欠員となった場合には、新たな根拠・論拠によって改めて定数を検討する

という趣旨の付帯意見も示されました。

そして今年4月には、こうした議論や答申を踏まえ、議会として最終案を確認しています。

つまり、今回の15人案は、何も決まっていない状態から「16人か15人か」を議論したものではありません。

一度「16人」という結論を出した後に、それを「15人」へ変更しようとする提案だった

ということが、今回の議論を見る上で重要な前提です。

なぜ「15人」が提案されたのか

今回の改正案では、現在16人の議員定数を、令和9年5月1日から15人へ変更することが提案されました。

提案理由として、大きく4つの考え方が示されました。

第一に、常任委員会の構成です。

15人になっても、議長を除く14人を2つの常任委員会に7人ずつ配置することができます。

これまで議会では、十分な委員会活動を行うためには1委員会7~8人程度が必要との考え方があり、15人でも最低限7人ずつを確保できるという主張です。

第二に、議長の裁決権を含めた議決構造です。

15人の場合、議長を除いた14人が通常の表決に参加します。

7対7になった場合には、地方自治法に基づいて議長が最終的な判断を行うことになります。

第三に、これまで進めてきた議会改革やICT化です。

ICTの活用、情報共有、住民との意見交換、議会モニターなど、議会としてさまざまな仕組みを整備してきたことから、15人でも住民の声を把握し、議会機能を維持できるとの考えが示されました。

第四に、議員報酬改定後の議員一人ひとりの責任です。

報酬を引き上げ、議員活動を行いやすい環境を整える一方で、一人ひとりがこれまで以上に責任を持って活動することで、15人でも議会機能を維持できるという考えです。

提案者からは、

「16人という考え方そのものを否定するものではない。しかし、本当に16人でなければならないのか、15人では議会機能を維持できないのかについて十分議論されていない」

との問題提起がありました。

本会議で問われた「なぜ今、15人なのか」

これに対して、本会議では多くの質疑が行われました。

その中で繰り返し問われたのが、

「15人でも議会運営ができるか」ではなく、「なぜ今、16人から15人へ変更しなければならないのか」

という点でした。

例えば、15人でも2つの常任委員会を7人ずつで構成すること自体は可能です。

しかし実際の議会活動では、病気や公務、監査業務などによって、すべての議員が必ず出席できるとは限りません。

「条例上7人で構成できる」ということと、

「欠席者が生じても、多様な意見を反映しながら安定的に委員会機能を維持できる」

ということは同じではないのではないか、との指摘がありました。

提案者からは、オンライン委員会などICTの活用や、議会運営上の日程調整などによって補完できるとの考えが示されました。

「議長の裁決権」は定数削減の根拠になるのか

議長の裁決権についても議論になりました。

全議員が出席した場合、定数16人では議長を除く15人が表決し、8人の賛成で可決となります。

一方、15人では議長を除く14人が表決し、7対7となった場合には議長が裁決します。

その場合、可決に関与する人数は議長を含めれば8人です。

このため、

「15人にすることで、16人では確保できないどのような意思決定機能が確保されるのか」

という質疑もありました。

提案者からは、議長も議員であり、4年間議長を務めた場合に通常の表決に参加する機会がなくなること、議会の意思が二分された際に議長が責任を持って意思表示できる構造にも意味があるとの説明がありました。

一方、反対側からは、議長の裁決権はあくまで可否同数の場合に行使される例外的な権限であり、その可能性を設けること自体が、住民から選ばれる代表者を一人減らす積極的な理由になるのかとの疑問が示されました。

私が確認した「16人を変更するだけの何が変わったのか」

私からは、今回の議論で特に確認したかった点について質疑しました。

芽室町議会はこれまで時間をかけて議員定数について議論し、町民との対話や議会改革諮問会議からの答申を踏まえて、16人という結論を出しています。

そこで私は、

「その時点から、16人という現在の定数を15人に変更しなければならないほどの、具体的・客観的な事情の変化は何なのか」

という点を確認しました。

また、15人でも議会運営が「可能」であるということと、

住民から選ばれる代表者を一人減らしてもよいということは別の問題

だと考えています。

議員一人を減らせば、その分だけ町民が選ぶことのできる議席そのものが一つ減ります。

そのため、議員一人を減らすのであれば、それを上回る必要性や合理性が必要ではないかという観点から質疑しました。

15人案は「提案者4人」で協議

今回の質疑では、15人という新たな結論に至ったプロセスについても確認されました。

提案者からは、16人という結論が出された後、改めて議会として町民との意見交換会を開催したわけではないことが答弁されました。

また、今回の15人案については、

提案者4人で協議し、議案提出に至った

ことも明らかになりました。

提案者からは、議員それぞれの日常活動の中で、議員報酬改定後に町民から定数について疑問の声などが寄せられたとの説明もありました。

議員が日常活動の中で町民の声を聞き、それを議会に持ち込むことは当然重要です。

一方、議員定数は議会内部だけの問題ではなく、町民が選ぶことのできる代表者の数そのものです。

だからこそ、16人という結論を導き出したときと同様、それを変更するときにも相応の検討過程が必要ではないかという点が大きな争点となりました。

議会改革諮問会議の答申をどう考えるのか

もう一つ大きな論点となったのが、議会改革諮問会議の答申です。

議会自らが町民・有識者による諮問会議を設置し、定数と報酬について意見を求め、その結果として16人を是とする答申を受けています。

提案者側も、この答申について「重く尊重すべきもの」との認識を示しました。

その一方で、付帯意見として、次期選挙が無投票や欠員となった場合には改めて定数を検討するよう求められていることから、

その検討を前倒しして行ってもよいのではないか

との考えが示されました。

反対側からは、

「まだ次期選挙は行われていない」

「付帯意見が想定した状況はまだ生じていない」

として、現段階で16人という答申と異なる結論を出すのであれば、それに相応する新たな事情と検討が必要ではないかとの指摘がありました。

「なり手不足対策」との整合性

現在、芽室町議会では、前回の町議会議員選挙が無投票となったことを重く受け止め、議員のなり手確保に向けた取り組みを進めています。

議会を知ってもらう取り組みや「議員の学校」など、議員の役割や活動を町民に伝え、将来的に議員を目指す人を増やすための活動です。

そのため本会議では、

「現在進めているなり手確保策の効果を検証する前に、なぜ定数を減らすのか」

という質疑もありました。

これに対して提案者からは、なり手確保策は定数が何人であっても進めるべきものであり、定数削減とは直接矛盾しないとの考えが示されました。

一方で、今回の15人案を検討する際、現在進めているなり手確保策との関係について、提案者間で特段協議していなかったことも答弁で確認されました。

賛成討論――「15人でも議会機能は維持できる」

質疑終了後、賛否双方から討論が行われました。

賛成側からは、

「15人でも7人ずつの常任委員会を維持できる」

「民意の反映は人数だけで決まるものではない」

「ICTや広報広聴、住民との対話を活用すれば議会機能を維持できる」

「報酬を活動と責任に見合うものとする以上、議員一人ひとりがこれまで以上に責任を持つべき」

などの主張がありました。

また、

「最小の費用で最大の効果を発揮できる議員数を考えるべき」

との意見や、人口減少や厳しい財政環境の中、行政だけではなく議会自身も改革姿勢を示すべきとの主張もありました。

反対討論――「15人にできることと、今減らす必要性は別」

反対側からは、それぞれ異なる観点から討論が行われました。

議会として16人という結論を導き出したプロセスの重み

議長の裁決権や7人の委員会構成が、住民代表を一人減らすだけの具体的な必要性・合理性になっているのか

現在進めているなり手確保策との整合性

そして、議会改革諮問会議の答申や町民との対話を踏まえて出した結論を変更するのであれば、それ相応の新たな根拠とプロセスが必要ではないか

こうした論点から反対意見が述べられました。

私が反対した理由

私も反対の立場から討論しました。

私が問題としたのは、「16人」という数字を何が何でも守るべきだということではありません。

社会情勢が変化し、議会に求められる役割が変われば、議員定数を見直すことは当然あり得ます。

15人が最適だという結論に将来到達することもあり得ると思っています。

しかし今回問われていたのは、

一度16人という結論を出した後、何が変わったのか。

そして、

その変化によって、なぜ今15人に変更しなければならないのか。

ということです。

今回の質疑を通じても、私はその問いに対する十分な答えが示されたとは判断できませんでした。

議員定数を16人から15人へ変更するということは、単に数字を一つ減らすことではありません。

町民が選挙によって選ぶことのできる代表者の議席を一つ減らす判断です。

だからこそ、16人という結論を導き出したときと同じように、丁寧な検証と説明が必要だと考えました。

そして私は反対討論の最後に、

「議会が自ら積み上げてきた意思決定を尊重し、その変更にも責任を持つこと。それが住民から信頼される議会であり続けるために必要な姿勢だ」

という考えを述べ、本議案に反対しました。

採決の結果「否決」

長時間にわたる質疑と、賛成・反対双方の討論を経て、電子採決が行われました。

結果は、

賛成少数。

議員定数を16人から15人へ変更する条例改正案は否決されました。

したがって、現行の議員定数16人が維持されます。

今回の議論を「15対16」で終わらせないために

今回の採決によって、ひとまず定数16人が維持されることになりました。

しかし、これで議員定数やなり手不足の問題が解決したわけではありません。

むしろ重要なのはここからだと思っています。

現在、議会ではなり手確保に向けたさまざまな取り組みを進めています。

次期選挙に向けて、その取り組みを実行し、結果を検証する。

そして実際の選挙結果や人口動態、議員活動、委員会活動などを踏まえ、必要であれば改めて議員定数について議論する。

そのときには、

「16人だから」「15人だから」ではなく、芽室町の議会がその役割を果たすために何人の議員が必要なのか

というところから議論する必要があります。

議会改革とは、単に人数を減らしたり、制度を変えたりすることではありません。

町民の声を聞き、議員同士で議論し、必要であれば外部の意見も聞き、その上で結論を出す。そして、一度出した結論を変更するのであれば、その理由を町民に説明する。

そのプロセスそのものが、議会への信頼をつくる。

今回の議論と採決を、次の議会改革につなげていきたいと思います。