令和7年度決算審査では、道路や橋梁、公園、公営住宅などを所管する「土木費」について審査を行いました。
道路や橋、公営住宅、公園などは、町民生活を支える重要な社会基盤です。一方で、整備して終わりではなく、その後何十年にもわたって維持管理や修繕、更新が必要になります。
今回の審査を通じて特に感じたのは、施設の老朽化が進む中で、「壊れたものを直す」という維持管理だけではなく、町全体として何を残し、どこに限られた財源を投入していくのかを考える段階に入っているということでした。
道路の老朽化―「発生したら直す」から一歩先へ
私からは「町道・歩道・駐車場等維持管理事業」について質疑しました。
令和7年度は、道路の経年劣化によって路面沈下など緊急的な舗装補修が必要となる路線が増え、郊外地道路施設維持管理業務の委託料を追加しています。また、砂利道の維持に必要な砂利の使用量も増加しました。
そこでまず、
「これは令和7年度だけの特殊な事情なのか。それとも道路の老朽化に伴って補修箇所や維持管理費が増えていく構造的な傾向なのか」
という点を確認しました。
町からは、古くから整備されている道路も多く、補修が必要な箇所は増えているとの認識が示されました。
一方、道路整備には当然限られた予算があります。その中で必要な補修を行いながら道路を維持していくという考えも示されました。
そこでさらに、老朽化が進んでいるのであれば、路面沈下などが発生してから対応するだけではなく、予防的な維持管理が必要ではないかという観点から質疑しました。
町として道路の劣化状況をどこまで把握し、どの道路から補修するのか、さらに将来どの程度の維持管理費が必要になるのか――。
個別箇所への対応だけでなく、町道全体を資産として捉え、中長期的に維持管理していく視点が、これまで以上に重要になると考えています。
なお、令和7年度には9月中旬の大雨によって町道40件が被災し、その復旧にも約3,560万円が必要になったことが他委員の質疑で明らかになりました。
老朽化だけではなく、こうした自然災害への対応も含めて道路維持管理費を考えていく必要があります。
266橋すべてを将来も維持するのか
橋梁長寿命化事業についても重要な議論がありました。
町が管理する橋梁は266橋あり、現在は建設から50年以上経過する橋が約18%ですが、20年後には約93%になるとされています。
令和7年度は63橋の点検を行うとともに、橋梁長寿命化計画の改訂などが行われました。
他委員から、
「必要な橋はしっかり守る一方、利用実態の少ない橋については廃止や統合も含めて考える時期ではないか」
との質疑がありました。
これに対して町からは、橋の利用度や状況などを確認しており、
現在の266橋すべてを永続的に維持していくという考えではなく、集約も念頭に検討している
との考えが示されました。
また、修繕の優先順位については、点検による緊急度、橋の規模や修繕費用、予算の平準化などを踏まえて決めているとの説明がありました。
これは今回の決算審査の中でも重要な答弁だったと思います。
「橋を長持ちさせる」ことだけが長寿命化ではありません。
人口や交通量が変化する中で、
どの橋を将来に残すのか。
そこまで含めた橋梁マネジメントが必要になっています。
芽室公園Park-PFI―「事業者を選んだ」で終わらせない
公園施設等維持管理事業では、芽室公園再整備に向けたPark-PFIについて多くの質疑がありました。
令和7年度には事業者の選定が行われましたが、提案した事業者は1グループでした。
選定委員会では、親子連れを主なターゲットとした施設計画、飲食店を含む滞在環境、建物を1棟に集約した利便性、公園や周辺環境との調和、構成企業の実績などが評価されたとのことです。
一方、他委員から重要な指摘がありました。
「事業者を選定できたこと自体を成果とするのではなく、この事業によって町にどのような経済的・財政的メリットが生まれるのかを成果として考える必要があるのではないか」
というものです。
町は、モンベルショップによる町外からの誘客や、屋内遊戯施設による子育て世代の利用、新たな雇用などの効果を想定しています。
また、スマートフォンの位置情報などを活用して、公園から町内へどのように人が流れるのかを分析することも可能との考えが示されました。
ただ、事業開始前だからこそ、
「利用者が何人増えれば成功なのか」
「町外から何人呼び込むのか」
「町内消費にどの程度つなげるのか」
といった成果指標を具体化しておく必要があります。
「実質負担6,500万円」は本当に6,500万円なのか
Park-PFIでは財政面についても踏み込んだ質疑がありました。
町から示されている試算では、固定資産税や町民税、公園使用料などを考慮すると、町の実質的な負担は約6,500万円とされています。
しかし、税収が増えれば普通交付税の算定にも影響します。
そのため他委員から、
「税収増によって普通交付税が減少する影響まで含めた、本当の意味での町の実質負担はいくらなのか」
との質疑がありました。
町からは、普通交付税への影響まで含めたシミュレーションは現時点では行っていないとの答弁がありました。
今後、基本設計・実施設計が進み、固定資産税なども具体化してきた段階で改めてシミュレーションしていくとのことです。
20年間に及ぶ事業だからこそ、当初の想定だけで評価するのではなく、実際の利用者数、税収、管理費などを継続的に検証する必要があります。
指定管理については10年を一つのサイクルとしつつ、年度協定と毎年度の指定管理者評価を通じて事業を見直していく考えも示されました。
公営住宅――「廃止すること」ではなく、その先を考える
公営住宅についても、老朽化への対応が大きなテーマとなりました。
用途廃止予定住宅について、令和7年度中には移転・退去が進み、令和7年度末時点で134世帯が居住しているとのことです。
長寿命化計画では令和8年度末に92戸となることを想定しており、町としては概ね計画どおりに進んでいるとの評価でした。
一方で、課題もあります。
一つの棟に一世帯だけが残るケースなどもあり、町としてはある程度まとまってから解体することで、効率的に除却を進めたいとの考えが示されました。
また、移転先として期待される借上げ公営住宅についても、これまで思うように確保できなかったという説明がありました。
さらに、移転によって家賃が上昇することが、移転を難しくする要因の一つとなっています。
公営住宅の用途廃止は、建物を減らせば終わりという話ではありません。
そこに暮らしている方が安心して次の住まいへ移れることと、町が将来にわたって維持できる住宅ストックにしていくこと。この両方を考える必要があります。
現在、公営住宅等長寿命化計画の見直しが進められているとのことですので、今後の計画の中で、将来的に町がどの程度の公営住宅を保有するのか、借上げ住宅をどう位置付けるのかについても注視したいと思います。
ステーションギャラリーも「今あるから残す」ではなく
メムロステーションギャラリーについても、施設の老朽化と今後のあり方について質疑がありました。
平成10年の整備から28年が経過し、これまでにもからくり時計や噴水などに変化がありました。
町からは、現在は主として鉄道利用者が利用しており、施設単体として町民や来訪者が目的を持って訪れる施設にはなっていないという認識が示されました。
また、老朽化によって今後の修繕・維持管理負担が増えることも認識している一方、現時点では大規模改修の検討は行っておらず、現在の施設を修繕しながら維持する考えとのことでした。
ただし、今後についてはステーションギャラリーだけを単独で考えるのではなく、
駅前プラザ、駅、駅前ロータリー、商店街を含めた中心市街地全体の中で今後のあり方を検討している
との答弁もありました。
これは非常に重要な視点だと思います。
老朽化したから改修するのではなく、まず「これからのまちなかに何が必要なのか」を考え、その中で既存施設をどう位置付けるのか。
これまで議論してきた「まちなか再生」ともつながるテーマです。
「すべてを維持する」ことを前提にしない時代へ
今回の土木費の決算審査では、道路、橋梁、公園、公営住宅、駅前施設と、それぞれ異なる事業について議論しました。
しかし、振り返ってみると共通する課題があります。
それは、
「これまで整備してきたものを、そのまますべて維持し続けることを前提にできるのか」
ということです。
道路は老朽化による補修が増えています。
橋梁は20年後には約93%が建設後50年以上となります。
公営住宅では用途廃止と借上げ住宅への移行が進められています。
公園や駅前施設も、今後さらに維持管理・更新費用が必要になります。
一方、町の財源にも人員にも限りがあります。
だからこそ、
壊れたら直す。
古くなったら建て替える。
という発想だけではなく、
何を残すのか。
何を集約するのか。
何を廃止するのか。
どこに重点的に投資するのか。
という判断がますます重要になります。
今回、橋梁について「266橋すべてを永続的に維持する考えではない」という答弁があったことは、その意味でも象徴的でした。
決算審査は、単に「予算どおりお金を使ったか」を確認する場ではありません。
令和7年度に使ったお金によって何が実現したのか。そして、その結果を次の政策や予算にどうつなげていくのか。
今回の審査で見えてきた課題を、今後の公共施設・インフラのあり方や次年度以降の予算審査にもつなげていきたいと思います。



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