令和7年度決算審査では、農林産業費について審査を行いました。

農業担い手への支援、有害鳥獣対策、てん菜の作付奨励、農業生産対策、町営牧場、土地改良など、多岐にわたる事業について説明があり、委員から質疑が行われました。

今回の審査で特に印象に残ったのは、現在は機能している制度や取組についても、農家戸数の減少や物価高騰、気候変動などを考えると、今の仕組みが10年後、20年後もそのまま機能するとは限らないということです。

離農した農地は、現在のところすべて受け手を確保

私からはまず、農地あっせん・中間管理機構事業について質問しました。

令和7年度は、農地の売買あっせんが成立したものが9件、26.3ha。一方、不成立となったものが23件、112.3haありました。

そこで、不成立となった農地も含め、離農等によって出てくる農地の受け皿が現在十分に機能しているのかを確認しました。

町からは、不成立となった案件についても、農地中間管理機構を活用し、一定期間貸し付けた後に借り手が購入する仕組みなどによって、現時点では全件、受け手につながっているとの説明がありました。

条件の悪い農地も、今のところ処分できている

一方、成果説明では、今後「条件不利地について調整が困難となることも考えられる」という課題も示されています。

そこで、既に形状や面積、排水条件、道路条件、位置などによって、担い手への集積が難しい農地が出始めているのかを確認しました。

町からは、条件の悪い農地について価格を調整したり、条件の良い土地と悪い土地を組み合わせて受けてもらったりするなどの工夫によって、現段階では条件不利地についても処分できているとの答弁がありました。

つまり、少なくとも令和7年度時点では、農地が余って引き受け手が見つからないという状況にはなっていません。

では、10年後、20年後も同じなのか

問題はその先です。

これまでは離農などによって農地が出ても、経営規模を拡大する農家が引き受けることで農地利用を維持してきました。

しかし、今後さらに農家戸数が減少すれば、農地を出す側が増える一方、受ける側にも労働力、農業機械、経営規模などの限界があります。

そこで最後に、

「担い手に集積すれば農地を維持できる」という現在の構造が成立しにくくなる将来まで想定しているのか

を質問しました。

町からは、現在の芽室町ではまだ規模拡大意欲があり、近隣に農家がいない場合でも、離れた地域から農地取得に手を挙げる農家がいるとの説明がありました。

その一方で、10年後、20年後に農家戸数がさらに減少した場合については、農業機械に余裕がある農家であれば規模拡大できるものの、新たな機械を購入してまで規模を拡大するかは今後の状況次第で分からないとの認識も示されました。

将来については、農業委員と協議しながら対策を考えていくとのことでした。

現在は問題なく回っている。

しかし、それが将来も続く保証はない。

農地政策については、これから重要になってくる視点だと感じます。

てん菜作付面積は4年間で約250ha減少

続いて私から、てん菜作付奨励事業について質問しました。

この事業は、てん菜の作付面積減少に歯止めをかけ、適正な輪作体系を維持することを目的としています。

一方、町全体の作付面積は、

令和4年度:約2,780ha
令和7年度:約2,529ha

と、4年間で約250ha減少しています。

そこで、この実績を町がどのように評価しているのかを確認しました。

町からは、令和4年度から5年度にかけて国の政策などの影響もあって大きく減少したものの、現在は少しずつ以前の水準へ回復しつつあるとの説明がありました。

そして今後について、作付面積を約3,000haまで戻していきたいとの考えが示されました。

これは今後の事業効果を検証する上で、一つの重要な数字になります。

てん菜が減っている理由は「補助額」だけではない

さらに、令和6年度には助成対象となる作付割合を20%以上から18%以上へ緩和するなど制度を見直しているにもかかわらず、作付面積が減少していることから、その原因をどう分析しているのか質問しました。

町から挙げられたのは、近年の高温や褐斑病などの発生、それに伴う防除回数の増加、そして、てん菜そのものが比較的手のかかる作物であることなどでした。

一方、従来の移植から直播への移行によって、作業負担を軽減する動きも進んでいるとのことです。

町としては、てん菜は北海道特有の重要な畑作物であり、畑の環境や輪作体系を守るという観点からも、作付奨励事業を継続していきたいとの考えが示されました。

単純に補助額を増やせば作付面積が戻るという問題ではなく、気候、病害、労働力、作業負担などが複雑に絡んでいることが見えてきました。

今後は、町が示した「約3,000ha」という水準に実際に近づいていくのか、引き続き確認していく必要があります。

捕獲数が増えても、農業被害額は約8,300万円

有害鳥獣対策については、他の委員から質疑がありました。

町の説明では、令和7年度はシカ、クマ、アライグマなどについて、近年では非常に多くの捕獲が行われました。

ところが、農業被害額についても、令和以降で過去最大となる約8,300万円に達したことが明らかになりました。

委員からは、

「捕獲したという実績ではなく、どれだけ被害を減らしたのか、将来の担い手をどう確保できたのかが成果ではないか」

という趣旨の指摘もありました。

町では令和7年度から9年度までの3年間を期間とする鳥獣被害防止計画を策定し、人材育成や捕獲計画についても位置付けているとのことです。

また、令和7年度に町の助成を利用して新たに猟友会へ加入した人は5人だったことも答弁で明らかになりました。

捕獲数が増えているにもかかわらず、被害額も増えている。

今後の有害鳥獣対策では、単純な捕獲頭数ではなく、最終的に農業被害をどこまで減らせたのかという成果から評価していくことが重要だと思います。

有害鳥獣の報奨金は平成22年度から据え置き

有害鳥獣対策では、別の委員からハンターに対する報奨金についても質疑がありました。

町からは、現在の報奨金額について、平成22年度に近隣町村の状況を確認して設定し、その後据え置いているとの説明がありました。

しかし、その間に燃料価格や弾薬価格などは上昇しています。

委員からも、ハンターによっては1日に100km以上走ることもあることや、北海道内の他自治体の報奨金額などを挙げ、見直しの必要性が指摘されました。

町からは、猟友会からも同様の話を聞いており、近隣町村や北海道の報奨金などを参考にしながら、今年度検討し、次年度以降に向けて見直しを進めたいとの考えが示されました。

また、緊急捕獲に係る報奨については全額補助となっており、一般財源の持ち出しはないとの説明もありました。

クマ出没に備えた訓練や情報共有も

クマへの対応についても確認がありました。

令和7年度には、警察、町職員、住民などが参加した実地の出没訓練を行ったとのことです。

また、令和8年3月には、町長も参加して猟友会との意見交換を行ったことが説明されました。

さらに令和7年度からは、道内のヒグマ出没情報を共有する「ヒグマップ」の利用も開始されています。

捕獲だけでなく、住宅地等への出没を想定した情報共有や関係機関との連携についても、今後ますます重要になると思います。

決算審査だからこそ「何をしたか」の先を見る

今回、実際に記録できた農林産業費の審査を見るだけでも、いくつか共通する課題が見えてきました。

農地については、現在はすべて受け手を確保できている。しかし10年、20年後も同じとは限らない。

てん菜については、作付奨励を続けながらも面積は減少している。その背景には気候や病害、労働負担など構造的な要因がある。

有害鳥獣対策については、捕獲数が増えても被害額は約8,300万円と過去最大になった。

いずれも、事業を「実施した」というだけでは評価できません。

農地を何haあっせんしたか。
てん菜にいくら補助したか。
有害鳥獣を何頭捕獲したか。

こうした数字はもちろん重要ですが、その先にある、

農地を将来にわたって維持できるのか。
輪作体系を維持できるだけの作付面積につながっているのか。
実際の農業被害を減らせているのか。

というところまで見ていく必要があります。

令和7年度という一年間の決算を確認すると同時に、その数字から5年後、10年後、さらにその先の芽室農業がどうなっていくのかを考える。

今回の農林産業費の審査では、そうした将来につながる課題も見えてきました。