令和7年度決算審査では、消防費についても審査が行われました。

消防費には、消防署や消防団の活動だけでなく、地域防災対策、消防庁舎、消防水利など、町民の生命や財産を守るためのさまざまな事業が含まれています。

今回、委員会では「地域防災対策事業」について、災害時に計画や仕組みが実際に機能するのかという視点から質疑が行われました。

行政だけでは完結しない災害対応

近年の大規模災害では、行政だけですべての被災者支援を担うことは困難です。

福祉関係者、地域、ボランティアなど、さまざまな主体との連携が求められています。

芽室町でも、令和7年度には水害を想定した町民防災訓練や防災・減災を考えるセミナーなどが実施されました。また、自主防災組織は年度末時点で22団体となっています。

審査では、前年の一般質問で取り上げられていた災害対策基本法等の改正も踏まえ、

「福祉的支援や広域避難、ボランティアなど、行政だけでは完結しない被災者支援について、令和7年度の訓練等を通じて関係機関との連携が実際に機能するか、どこまで検証されたのか」

との質疑がありました。

町からは、令和7年度に福祉避難所が1か所増えたことや、ケアネットめむろと連携した訓練を実施したことなどが説明されました。

制度や計画をつくるだけではなく、関係機関と実際に動きながら「何ができるのか」を模索している段階にあります。

災害対応にもDX――避難所受付をデジタル化

次に取り上げられたのが、災害時のデジタル活用です。

大規模災害では、「誰が、どの避難所に避難しているのか」「各避難所で何が不足しているのか」といった情報を迅速に把握し、災害対策本部と共有することが重要になります。

そこで、

「被災者や避難所の情報を収集・共有するためのデジタル活用について、有効性や課題を検証する機会はあったのか」

との質疑がありました。

町からは、実際の試行は今年度(令和8年度)になりますが、避難所訓練において、従来の紙への記入に代わってQRコードとアプリを利用した避難者受付を始めたとの説明がありました。

入力された情報を災害対策本部とも共有する仕組みで、訓練参加者からも「紙より簡単で便利」といった評価があったとのことです。

まだ試行段階ですが、災害DXが具体的な運用へ一歩進んでいます。

一方で、本当の災害では停電や通信障害が発生する可能性もありますし、スマートフォンを使えない方への対応も必要です。

訓練を重ねながら、デジタルと従来の手段をどう組み合わせるのかも今後の課題です。

町が考える「最も強化すべきこと」は情報伝達

3回目の質疑では、個々の取組から一段踏み込み、

「令和7年度のさまざまな取組を検証した結果、現在の地域防災体制の中で、特に実効性を高める必要があると認識した部分は何か」

が問われました。

町から示されたのは、災害時の情報伝達をさらに強化する必要があるという認識でした。

芽室町民は防災への関心が高く、災害対策本部から正確な情報をスピーディーに届けることができれば、住民自身が「自分事」として素早く行動できる。そのため、防災ラジオや安心メールなど、情報を受け取るための手段を確保することが重要だという説明です。

町の成果資料でも、防災ラジオに加えて、めむろ安心メール、町公式LINEの周知を行い、いずれか一つでも登録している町民を増やしていく方針が示されています。

防災ラジオの配付率は48.79%

ここで、今後さらに検証していく必要がある数字があります。

令和7年度末現在、防災ラジオの配付状況は、

  • 対象世帯 8,042世帯
  • 配付世帯 3,924世帯
  • 配付率 48.79%

となっています。

また、めむろ安心メールの登録件数は3,124件です。

もちろん、これだけを見て「半分にしか情報が届かない」ということではありません。

町には防災ラジオだけでなく、安心メールや公式LINEなど複数の情報伝達手段があります。

だからこそ今後重要になるのは、

「防災ラジオを何台配ったか」
「メール登録者が何人増えたか」

だけではなく、

「それらを組み合わせた結果、実際にどれだけの町民に災害情報を届けられる状態になっているのか」

という視点です。

さらに重要なのは、どの情報伝達手段にもつながっていない人を把握することだと考えます。

災害時に情報を受け取りにくい人ほど、支援を必要とする可能性があるからです。

「整備した」から「機能する」防災へ

今回の質疑を通じて確認できたのは、芽室町の地域防災が少しずつ実践段階へ進んでいることです。

福祉関係者との連携、福祉避難所の確保、避難所でのデジタル活用など、新たな取組も始まっています。

一方で、決算審査で重要なのは、

「何をやったのか」だけではなく、「その結果、災害対応力がどれだけ高まったのか」

を見ることです。

防災ラジオを配る。
メール登録を増やす。
訓練を行う。
システムを導入する。

これらはすべて重要な取組ですが、それ自体が最終目的ではありません。

災害が発生したときに情報が届き、住民が避難し、行政や地域、福祉関係者などが連携して実際に動ける。

そこまでつながって初めて、防災対策の成果になると考えます。

消防・防災インフラの更新も今後の課題

今回の委員会では質疑には至りませんでしたが、消防費の資料からはもう一つ大きな課題も見えています。

町内の消防水利充足率は91.2%で8.8%不足。防火水槽66基のうち耐震性を有していないものが約30基あり、消火栓も約296基のうち約60基が設置から40年以上経過しています。

また、消防庁舎も竣工から45年が経過しており、老朽化だけでなく、女性職員等への施設環境や消防車両・機器の大型化への対応なども課題となっています。町は「芽室消防庁舎改修基本構想」を成案化し、今後、事業手法を確定していく方針です。

これらは一度に解決できる問題ではなく、今後大きな財政負担も伴います。

だからこそ、「今必要だから整備する」という単年度の視点だけではなく、10年、20年先まで消防・防災力をどう維持していくのかという視点で引き続き確認していく必要があります。

今回の決算審査では、地域防災について「計画や体制があるか」から一歩進んで、**「いざというとき、本当に機能するのか」**という点を中心に議論が行われました。

災害はいつ起きるかわかりません。

平時だからこそ、訓練を通じて課題を見つけ、改善し、また検証する。

そして、町から発信される重要な情報を一人でも多くの町民に確実に届けられる体制をつくる。

こうした積み重ねが、地域全体の防災力を高めていくのだと思います。