令和7年度決算審査では、教育費についてもさまざまな角度から質疑が行われました。
不登校や困り感を抱える子どもたちへの支援
児童生徒支援事業では、不登校やいじめへの対応、スクールライフアドバイザー、教育支援センターなどについて質疑が行われました。
芽室町では、スクールライフアドバイザーをはじめ、教育活動指導助手・支援員、教育支援センター、メタバースなど、複数の手段を組み合わせながら児童生徒を支援しています。
令和7年度には、指導主事と地域コーディネーターの役割を担う職員も配置されました。学校現場の知見を持った職員が、スクールライフアドバイザーなどに指導・助言できるようになり、支援する側の体制強化につながっているとの説明がありました。
また、いじめについては認知件数が増加していますが、教育委員会からは、アンケートなどを活用して積極的に認知し、重大な状況になる前に対応することを重視しているとの考えが示されました。
単純に「認知件数が増えた=悪化した」と見るのではなく、早期に把握できているか、その後適切な支援につながっているかを見る必要があります。
教育支援センター「ゆうゆう」の実際の利用状況
教育支援センター「ゆうゆう」についても、具体的な利用実態が示されました。
年度末の登録者は25人ですが、実際に通所できている児童生徒は10人前後、週平均では4~5人程度とのことです。
数字だけを見ると登録者数と実際の利用には差がありますが、不登校支援は単純な利用人数だけでは評価できません。
教育委員会は、「ゆうゆう」を、困り感を抱える子どもが家から一歩外へ出て、人や社会とのつながりを持つための第三の居場所として重要な場所だと説明しました。
学校へ戻ることだけを唯一の成果とするのではなく、その子に応じた形で外とのつながりを取り戻していく。
一方で、今後は「何人登録したか」「何人通所したか」だけではなく、こうした支援によって子どもたちにどのような変化が生まれたのかを捉えていくことも、事業を評価する上では重要になりそうです。
学校の「雰囲気」を可視化する学校風土調査
令和7年度に実施された学校風土調査についても質疑がありました。
これは、学校や学級が児童生徒にとって安心して学べる環境になっているかなど、目に見えにくい学校・学級の状況を数値化、可視化するものです。
調査結果をもとに学校・学級の状況を分析し、学校運営や学級経営の改善につなげられることがメリットとして説明されました。
一方、あくまで集団を対象とした調査なので、「具体的に誰が困っているのか」までは把握できません。
客観的なデータと、日頃から子どもたちと接している教員による細かな見取り。この両方を組み合わせていくことが重要だということも確認されました。
GIGAスクールで授業はどう変わったのか
教材教具整備事業では、GIGAスクールによる1人1台端末について議論されました。
導入当初は「端末をどう整備するか」「学校で使えるようにするか」が大きな課題でしたが、現在ではICTが日常的な学習ツールとして定着してきています。
教育委員会からは、児童がICT機器を学習に役立つと感じている割合が高まっていることや、教員による日常的な活用も大きく進んでいることが説明されました。
さらに教育長からは、電子黒板と1人1台端末を組み合わせることで、一人一人の学習の進み具合やつまずきを把握しやすくなったこと、他の児童生徒の考えを端末上で確認する「他者参照」が可能になったことなど、具体的な授業の変化も紹介されました。
個別最適な学びと協働的な学びを進める上で、ICTが一つの有効な手段になっていることが分かります。
「何でもICT」ではない
一方で興味深かったのは、「ICTを使えば使うほどよい」という考えではないことです。
例えば漢字などは、実際に手を動かして書くことによって定着しやすい場合があります。
教育長からも、発達段階や教科、学習内容によって、タブレットだけではなく紙やノートもしっかり使っていくとの考えが示されました。
GIGAスクールも、端末を「使うこと」そのものを目的とする段階から、
どの学習場面で、どの道具を使えば最も効果的なのか
を考える段階へ移ってきているように感じます。
また、学力については、小学校が以前の全国平均を下回る状況から近年は全国平均程度まで改善してきており、中学校も全国平均程度を維持しているとの説明がありました。
ただし、学力の変化をそのままICT導入の成果と結びつけるのではなく、さまざまな授業改善の中で捉えていく必要があります。
中高生が「参加する側」から「地域で動く側」へ
少年教育活動運営事業では、「地元大学」などを通じた中高生の地域参画について質疑が行われました。
令和7年度には、地域の大人との出会いをきっかけとして、中高生が新たな活動に挑戦する事例が生まれています。
答弁では、自ら居場所づくりに取り組む生徒や、「さちむすみプロジェクト」と名付けて地域の人との交流を企画する事例などが紹介されました。
行政が用意したイベントに「参加する」だけではなく、そこから自分自身で企画し、地域の中で行動する。
これは参加人数だけを見ていては分からない成果です。
こうした事業では、「何人参加したのか」とともに、参加をきっかけとして若者の意識や行動がどう変わったのかという視点も重要だと感じました。
部活動の地域展開―令和11年4月に向けて
スポーツ分野では、学校部活動の地域展開についても議論されました。
令和7年度には専任の教育コーディネーターを配置し、指導者1人の配置にもつながりました。また、令和8年度から実施する学校部活動地域展開推進計画が策定され、令和11年4月までに全ての部活動を広く地域展開するという目標が設定されています。
一方、協議を進める中で大きな課題として挙げられたのが、指導者や受け皿の確保、そして実施主体をどう構築するかという問題です。
子どもや保護者、教職員への情報提供についても、行政から「少し遅れている部分がある」との認識が示されました。
計画を策定したことで一区切りではありません。
令和11年4月という期限から逆算して、毎年度どこまで進めるのか。今後は実行段階での進捗が重要になってきます。
温暖化で変わる冬のスケート環境
町営スケートリンク造成管理事業では、近年の気候変動を踏まえた今後のあり方について質疑が行われました。
令和7年度にリンクを開放できた期間は、1月6日から2月12日までの37日間でした。
かつては冬休み前の開設を目指していましたが、近年は年明けまでリンクをつくることが難しい状況が続いています。
行政からは、造成には相当の費用もかかっていることから、費用対効果や温暖化を踏まえれば、今後見直しを検討すべき事業であり、担当課だけでなく町全体で考える必要があるとの認識が示されました。
屋外スケートリンクは、子どもたちの冬季スポーツ環境であると同時に、北海道・十勝らしい冬の文化でもあります。
だからこそ、単純に「続ける・やめる」ではなく、開放できる日数や利用状況、必要な経費、教育的な価値などを整理しながら、持続可能な方法を考えていく必要があります。
長く続く事業を、節目でどう見直すか
ゲートボールについても、印象的な議論がありました。
発祥の地杯は長年続いており、今後40回という節目を迎えます。海外からの参加もあり、「ゲートボール発祥の地・芽室」というブランドを国内外へ発信する機会になっています。
一方、町長からは、40回大会そのものが盛会に終わったとしても、その後のゲートボール振興がどうなるのかを考えなければならないとの認識が示されました。
特に今後は、高齢の愛好者だけでなく、中高生や社会人など次の世代への普及、国内の競技振興にも目を向けていく必要があるとの考えです。
節目の大会を単なる「記念イベント」にするのではなく、これまでの取り組みを振り返り、次の時代の目的やターゲットを考える機会にできるかがポイントになりそうです。
教育費の決算審査から見えてきたこと
今回の教育費では、不登校支援からICT教育、若者の地域参画、部活動、スポーツまで、幅広い議論がありました。
共通して感じたのは、行政サービスを評価するとき、
「何を実施したか」だけではなく、「その結果、何が変わったのか」
を見ることの重要性です。
25人が登録した。
何回イベントを開催した。
端末を整備した。
計画を策定した。
スケートリンクを造成した。
これらはいずれも大切な実績ですが、それだけでは事業の成果を十分に説明できません。
子どもが新たな居場所とつながったのか。
若者が地域で自ら行動するようになったのか。
ICTによって学びの質がどう変わったのか。
計画策定によって具体的な課題解決が進んでいるのか。
そして、社会環境や気候が変化する中でも、これまでと同じ事業を同じ方法で続けることが最適なのか。
決算審査は、過去に使ったお金を確認すると同時に、その成果を次の政策判断につなげるための場でもあります。
教育分野は、成果がすぐ数字として現れない事業も少なくありません。
だからこそ、数字だけで判断するのでも、理念だけで評価するのでもなく、子どもたちや地域に実際にどのような変化が生まれているのかを丁寧に見ていくことが重要だと、今回の審査を通じて改めて感じました。



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