令和7年度決算審査では、芽室町の下水道事業会計についても審査が行われました。

下水道は、普段の生活ではなかなか意識することのないインフラです。しかし、人口減少が進む一方で施設の老朽化への対応が必要となる中、「これからも持続可能な形で維持できるのか」という課題があります。

そして町では、令和10年度を目標として下水道使用料の改定を検討しています。

今回の決算審査では、その料金改定についても具体的な議論がありました。

令和7年度は約3,966万円の純利益に

令和7年度の下水道事業会計では、経営の健全性を示す「経常収支比率」が104.76%となり、前年度から13.11ポイント改善しました。決算では約3,966万円の純利益となっています。

町の説明によると、改善の背景には料金収入の増加だけではなく、雨水処理に要する資本費について、地方公営企業の繰出基準に基づいて一般会計からの繰入金の収入科目を精査したことも影響しています。

実際、下水道事業には使用料収入だけでなく、一般会計から補助金や負担金が繰り入れられています。令和7年度は資本的収入についても、一般会計から1,868万5千円の出資を受けています。

そのため、単純に「黒字になったから経営問題は解決した」と見るのではなく、一般会計からの負担も含めて下水道経営を考える必要があります。

人口は減っても、施設は維持しなければならない

もう一つの課題が人口減少です。

公共下水道の接続人口は令和7年度末で13,899人となり、前年度から113人減少しました。

また農業集落排水についても、接続人口は127人から122人へ減少しています。

人口が減れば、将来的には下水道使用料収入の減少につながります。

一方で、利用者が減ったからといって、下水道管やポンプ場などの施設を簡単になくすことはできません。

町も決算書の中で、人口減少や節水型社会の定着によって料金収入の拡大は見込めない一方、老朽化した施設の更新や耐震化への対応が必要であり、経営環境は厳しさを増しているとの認識を示しています。

これから本格化する施設更新

令和7年度には、今後の施設更新につながるストックマネジメント改築実施設計も実施されています。

さらに、第2汚水中継ポンプ場の設備更新工事には約1億1,228万円が投入されました。

今後の下水道経営を考えるうえでは、

人口減少によって使用料収入が伸びない一方、老朽化した施設の更新費は必要になる

という問題を避けて通れません。

だからこそ、単年度の黒字・赤字だけではなく、「今後10年、20年でどの程度の更新費が必要になるのか」「その財源を使用料、企業債、一般会計でどう負担するのか」という視点が重要になります。

農業集落排水では経費回収率17.17%

今回の決算でもう一つ注目したのが、農業集落排水事業です。

令和7年度の経常収支比率は111.80%ですが、一方で経費回収率は17.17%となっています。

経常収支比率だけを見れば100%を超えていますが、使用料によって汚水処理費をどこまで賄えているかという観点では、非常に低い数字です。

しかも接続人口は122人まで減少しています。

今後さらに人口が減少していく中で、現在の施設をそのまま維持していくのか。それとも将来的には施設や処理方法そのもののあり方を考える必要があるのか。

これも中長期的に確認していかなければならない課題だと考えています。

そして議論になった「令和10年度の料金改定」

今回の決算審査で具体的な質疑となったのが、下水道使用料の改定です。

町が策定している経営戦略では、令和10年度を目標として使用料を改定する方向が示されています。

審査では、令和7年度にどのような検討を行ったのかが質疑されました。

町からは、

令和7年度:使用料改定に向けた論点整理
令和8年度:料金体系について検討
令和9年度:審議会等を踏まえて具体的な検討・説明
令和10年度:使用料改定

という今後の流れが示されました。

「38%値上げ」は決定ではない

特に注目したい答弁がありました。

経営戦略では、令和10年度の使用料改定について38%程度の改定を想定した試算が示されています。

しかし今回の質疑に対し、町からは、令和7年度に純利益が出たことや今後の施設更新・機能保全に必要な費用を確認しながら、38%よりも改定率を引き下げることも含めて検討しているとの考えが示されました。

これは今回の決算審査で確認された重要なポイントです。

つまり、

「令和10年度に38%値上げすることが決まっている」ということではありません。

今後の収支や施設更新費などを精査したうえで、具体的な料金体系・改定率を検討していくことになります。

町民への説明も早い段階から

下水道使用料は、多くの町民の暮らしに直接影響します。

そのため質疑では、具体的な料金改定案が決まってから説明するのではなく、現在検討していること自体を早い段階から町民に知らせる必要があるのではないか、という指摘もありました。

町からは、令和8年度中にも現状を説明できるよう整理し、その後、令和9年度には審議会等を踏まえながら丁寧に説明していくとの考えが示されました。

周知についても、広報誌やホームページなどを活用しながら丁寧に進めるとの答弁がありました。

「値上げするか」だけではなく、将来の下水道をどう維持するか

下水道料金の話になると、どうしても「何%上がるのか」に注目が集まります。

もちろん、それは町民生活に直接関係する重要な問題です。

しかし今回の決算から考えなければならないのは、それだけではありません。

人口が減少する中でも下水道施設を維持し、老朽化した設備を更新しなければならない。その費用を、使用料を負担する利用者、一般会計を通じて負担する町全体、そして将来世代の間でどう分担していくのか。

ここが下水道事業の本質的な課題だと考えています。

令和7年度は黒字となりましたが、それだけをもって将来にわたって経営が安定したとは言えません。

令和8年度には料金体系の検討がさらに進みます。

38%という当初の試算が今後どう変わるのか。施設更新費はどの程度必要なのか。そして一般会計からの負担は将来どうなるのか。

令和10年度の料金改定に向けて、町民への丁寧な情報提供を求めるとともに、これらの点を引き続き議会として確認していきたいと思います。