令和7年度決算審査では、4款「衛生費」について質疑を行いました。

衛生費には、予防接種、斎場、地球温暖化対策、妊産婦・乳幼児支援、がん検診、ごみ処理など、町民生活に直結する幅広い事業が含まれています。

今回、私が特に取り上げたのは「地球温暖化対策事業」です。

決算審査では、「事業を実施した」「補助金を交付した」という実績だけではなく、その結果として何が変わったのか、投入した税金に見合う成果が得られたのか、そして、その検証を次の事業選択にどうつなげるのかという視点を重視しました。

ゼロカーボン施策で、実際にCO2はどれだけ減ったのか

芽室町では、2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で48%削減することを目標としています。

令和7年度には、新たに「すまいのゼロカーボン推進事業」が実施され、住宅の太陽光発電設備や蓄電池、省エネ設備・家電などへの支援が行われました。すまいのゼロカーボン補助金では102件、1,147万7,000円の補助実績となっています。

そこで私は、まず事業の最終的な目的を確認しました。

補助件数やセミナー参加者数を増やすことそのものが目的ではなく、最終的にはCO2を削減することが目的です。

そのため、

「令和7年度の各施策によって、実際にどの程度のCO2削減効果が得られたと評価しているのか」

と質しました。

町からは、「すまいのゼロカーボン」などの補助によって、136トンのCO2削減効果があったとの答弁がありました。

成果説明資料だけでは見えにくかった「実際にどれだけCO2が減ったのか」というアウトカムを、具体的な数字として確認することができました。

1,000万円使って何トン減らせたのか

次に確認したのが、費用対効果です。

太陽光発電、蓄電池、給湯設備、エアコン、冷蔵庫など、同じゼロカーボン施策でも必要な費用とCO2削減効果は異なります。

限られた財源を投入する以上、

「何件補助したか」

だけではなく、

「どの施策にいくら投入し、どれだけCO2を削減できたのか」

を比較する必要があります。

この点を質したところ、町からは、町の推進委員会に参加する有識者や関係機関からも同様の意見が出ており、令和7年度の実績を踏まえ、今後その効果を検証していくとの考えが示されました。

これは重要な答弁だったと考えています。

ゼロカーボンという大きな目標があるからといって、関連する事業を際限なく積み上げればよいわけではありません。

同じ1,000万円を使うのであれば、より大きなCO2削減につながる政策を選択する。

こうした視点が今後ますます重要になります。

LED化、Jクレジット――事業が増えるからこそ「選択」が必要

3回目の質疑では、令和8年度以降を見据えました。

今後は公共施設のLED化など、ゼロカーボン施策の事業規模がさらに大きくなります。成果説明でも、公共施設LED化を令和8年度以降進める方針などが示されています。

さらに、町有林のCO2吸収量をJクレジットとして認証・売却し、新たな財源として活用していく取り組みも進められています。

そこで、

CO2削減効果、投資額、ランニングコストの削減効果、財源確保などを比較し、町全体として効果の高い事業から優先していくべきではないか

という観点から、今後の事業選択の基準を質しました。

町からは、これまで実施してきた事業の推移を見ながら、単純に新しい事業を次々と増やしていくのではなく、CO2削減に向けて何ができるのかを考えながら進めていくとの答弁がありました。

今後は、この考え方が実際の予算編成や事業選択にどう反映されるのかを見ていく必要があります。

「2030年度48%削減」への現在地も課題

他の委員からは、今回確認された136トンという削減量が、2030年度の48%削減目標に対してどの程度の進捗なのかという質疑もありました。

町からは、芽室町では産業部門からの排出量が大きく、事業者も様々な取り組みを進めていることなどが説明されました。

一方、町全体の排出量については今後積み上げていくとの説明で、2030年度の目標達成に向けて「進んでいる」との認識は示されたものの、現在何%まで削減できているのかという明確な現在地までは示されませんでした。

今後は個々の事業の削減効果だけでなく、

2013年度 → 現在 → 2030年度目標

という全体の進捗を継続的に「見える化」することも必要だと感じます。

約10億円も視野に入る斎場再整備

衛生費では、斎場の再整備についても活発な議論がありました。

現在の斎場は昭和51年度建設で、長年にわたり修繕を重ねながら使用されています。令和3年度に策定された再整備基本計画では、駐車場や外構工事を除いて約4億8,000万円と試算されていましたが、その後の物価高騰などによって、現在では当初想定の2倍を超える可能性が示されています。

質疑では、事業費がさらに膨らむ可能性や今後のスケジュールについて確認されました。

町は令和8年度に整備手法と財源を確定し、令和9~10年度に設計、令和11~12年度に施工する考えを示しました。

また、将来の火葬需要や施設規模についても議論されました。

町からは、人口減少、高齢化、火葬件数などを踏まえた将来推計を行っており、その後も推計した結果、現段階では大きく考え方を変更する状況にはないとの説明がありました。

近隣自治体との広域化についても、これまで情報交換を行ったものの、各自治体の施設整備の優先順位などを踏まえ、現在の芽室町単独での整備方針に至っているとのことでした。

斎場は町民生活に欠かせない施設です。

だからこそ、単純に「古くなったから建て替える」のではなく、将来需要、必要な施設規模、整備費、維持管理費、財源などを総合的に比較し、長期的に最も合理的な選択をすることが重要です。

5歳児健診をどう考えるか

乳幼児健診・相談事業では、5歳児健診について質疑がありました。

芽室町では、3歳6か月児健診後も、必要に応じて保護者との面談や発達検査につなげるほか、保育所・幼稚園とも情報共有しながら子どもの発達を継続的に確認しています。

町としては、こうした既存の支援システムがあることから、5歳児全員を対象とした一律の健診が芽室町にとって最適なのかも含め、令和7年度から引き続き検討しているとのことでした。

重要なのは「5歳児健診を実施するか、しないか」だけではありません。

現在の仕組みによって、支援が必要な子どもを就学前に確実に把握し、必要な支援につなげられているのかを検証することが大切です。

がん検診――受けてもらうだけで終わらせない

がん検診についても、受診率向上に向けた課題が議論されました。

令和7年度の各種がん検診受診者数は4,446人で、前年度の4,871人から減少しています。胃がん、大腸がんなどの個別検診を町内医療機関でも受けられるよう受診機会を拡大した一方、全体の受診者数は減少しました。

町からは、自覚症状がないことで必要性を感じにくいことや、仕事・家事などで時間を確保しにくいことなどが、受診につながらない要因として挙げられました。

また、令和7年度は要精密検査者312人のうち265人が精密検査を受診し、受診率は84.9%。8人のがんが発見されています。

質疑では、検診を受けてもらうだけでなく、

検診 → 精密検査 → 必要な治療

まで一連の流れとしてフォローする必要性も指摘されました。

町からも、精密検査を確実に受けてもらい、必要な場合には一日でも早く治療につながるところまでフォローしていきたいとの考えが示されました。

決算審査は「次の予算」につなげるために

今回の衛生費の審査を通して改めて感じたのは、行政の成果を「実施件数」だけで評価しないことの重要性です。

ゼロカーボンなら、補助件数ではなくCO2が何トン減ったのか

がん検診なら、案内を何件送ったかではなく、受診し、精密検査を受け、必要な治療につながったのか

乳幼児支援なら、健診を何回実施したかではなく、支援が必要な子どもを把握し、適切な支援につなげられたのか

そして大型公共施設なら、整備すること自体ではなく、将来需要と財政負担を踏まえて最適な施設を選択できているのか

令和7年度に何をしたのかを確認するだけでなく、

「その結果、何が変わったのか」
「投入した税金に見合う成果だったのか」
「その結果を次年度以降の事業選択にどう反映するのか」

まで確認する。

引き続き、こうした視点を大切に決算審査に臨んでいきます。