令和7年度決算審査では、後期高齢者医療特別会計について審査が行われました。
令和7年度の歳入総額は約3億7,585万円、歳出総額は約3億6,303万円。実質収支は約1,282万円となっています。
後期高齢者医療制度そのものは北海道後期高齢者医療広域連合が運営していますが、町では保険料の徴収や資格管理、健康診査など、住民に身近な部分を担っています。
今回の審査では、その中でも「後期高齢者特定健診事業」について質疑がありました。
受診率は17.60%。ほぼ横ばいをどう見るか
令和7年度の後期高齢者特定健診は、対象者2,853人に対して受診者502人、受診率は17.60%でした。
前年度は対象者2,803人、受診者491人、受診率17.52%ですので、受診者数は11人増えていますが、受診率としては0.08ポイントの上昇にとどまっています。
町からも決算説明の中で、「受診勧奨の強化に取り組み、受診率は17.6%、前年度から微増」との説明がありました。
これに対する質疑では、これまで様々な受診勧奨や検査項目の充実に取り組んできた中で、ほぼ横ばいとなった結果をどう評価し、受診率が伸びていない要因をどう分析しているのかが問われました。
町の答弁からは、単純な受診率だけでは見えてこない、後期高齢者特有の事情が明らかになりました。
「健診を受けていない=健康状態が分からない」ではない
後期高齢者の場合、すでに医療機関へ通院している方も多くいます。
国民健康保険の特定健診とは異なり、後期高齢者については、通院中の方の情報を健診データとして受領する取組を行っていないとのこと。
そのため、健診受診率17.60%という数字だけをもって、「残りの8割以上の健康状態を町が把握できていない」と考えるのは実態とは異なります。
町としても、
健診を受けて健康状態を確認している方
だけではなく、
医療機関に通院し、日常的に健康状態を確認している方
が相当数いることを把握しています。
一方で、行政として特に目を向ける必要があるのが、
「健診にも医療にもつながっていない方」
です。
町もこうした方が一定数いると認識しており、健診受診を促すだけではなく、その方々の健康状態を把握していく必要があるとの考えが示されました。
受診率だけを追うのではなく、本当に健康状態を把握できていない人は誰なのかを見つけることが重要だということです。
医療にも健診にもつながっていない人には「訪問」
さらに質疑では、令和7年度から成果指標を「平均自立期間」に変更したことを踏まえ、健診から健康状態の改善、さらには自立期間の延伸までをどのように関連付けて事業効果を評価しているのかが確認されました。
成果説明でも、令和7年度から上位成果指標を従来の住民意識調査結果から「平均自立期間」に変更しています。
答弁では、高齢者支援課と連携しながら、保健事業と介護予防を一体的に進めていることが説明されました。
特に注目したいのが、医療にも健診にもつながっていない方を抽出し、実際に訪問して生活状況を確認しているという取組です。
さらに、地域の団体などでも健康状態を定期的に測り、できるだけ介護が必要な状態へ進まないよう取り組んでいるとのことでした。
つまり、
健康状態を把握する
→ 健診にも医療にもつながっていない人を見つける
→ 訪問して生活状況を確認する
→ 必要な支援につなげる
→ フレイルや要介護状態への移行を予防する
→ 自立した生活を送れる期間を延ばす
という流れで事業を捉えていることが分かります。
実際に介護予防につながったケースも
質疑ではさらに一歩踏み込み、こうした取組によって、実際にフレイルリスクのある方が介護予防事業や通いの場など、必要な支援につながった実績があるのかについても確認されました。
町からは、高齢者の生活実態を把握する中で、個別に介護予防事業へ直接案内したケースがあったとの答弁がありました。
また、個別支援だけではなく、地域全体の実態を把握する中で、それが高齢者支援課による新たな事業の企画にも結び付いたとの説明もありました。
一人ひとりの状態を把握して必要な支援につなげることと、地域全体から見えてきた課題を新しい施策につなげること。
その両面から取組が進められていることが、今回の決算審査から見えてきました。
健診を受けてもらうことがゴールではない
後期高齢者特定健診事業の目的は、健診受診率そのものを上げることではありません。
成果説明でも、この事業は「生活習慣病の重篤化を防ぐとともに、早期発見及び予防を図る」ことを目的としています。
そう考えると、
「受診券を発行した」
「502人が受診した」
「受診率が17.6%になった」
というところだけで評価を終えるべきではありません。
その先に、
健康状態を把握できたのか。
リスクのある人を早期に発見できたのか。
必要な医療や介護予防につながったのか。
そして、高齢者が自立して生活できる期間を延ばすことにつながったのか。
という成果があります。
今回、成果指標を「平均自立期間」へ変更したことも、こうした事業本来の目的を評価していく方向性として注目したいところです。
次に見たいのは「何人が支援につながったのか」
一方、今回の審査から今後の検証ポイントも見えてきました。
答弁では、医療にも健診にもつながっていない方を抽出して訪問していることや、介護予防事業へつながったケースがあることが確認されました。
ただし、
医療にも健診にもつながっていない方が何人いるのか。
そのうち何人にアプローチできたのか。
何人が健診や医療につながったのか。
何人が介護予防などの必要な支援につながったのか。
といったところまでは、今回の質疑では数字として明らかになっていません。
今後はこうした部分も定量的に見えるようになると、健診事業から介護予防までの成果を、より具体的に検証できるのではないでしょうか。
高齢化が進む中、重要なのは健診受診率という一つの数字だけではありません。
健康状態を把握できていない方を見つけ、必要な医療や介護予防につなぎ、できるだけ長く自立した生活を送れるよう支えること。
令和7年度決算審査で交わされた質疑から、後期高齢者の健康づくりを「健診の受診率」だけではなく、その先まで見ていく必要性が見えてきました。



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