令和7年度の介護保険特別会計決算について審査を行いました。

今回の決算では、介護人材の確保や介護予防、認知症施策、高齢者の在宅生活を支えるサービスなどについて、令和7年度の実績と今後の課題を確認しました。

特に気になるのは、高齢化が進む中で要介護認定者、介護サービス利用者ともに増加していることです。個々の事業を実施するだけではなく、それぞれの取組が「介護を必要とする時期を少しでも遅らせる」「必要なサービスを将来にわたって提供できる体制をつくる」といった成果につながっているのかを見る必要があります。

要介護認定者は1年間で57人増加

令和7年度介護保険特別会計は、歳入総額約21億5,181万円、歳出総額約20億5,139万円となりました。

令和7年度の要介護認定者は1,176人で、前年度の1,119人から57人増加しています。65歳以上人口に占める認定者の割合も21.3%となっています。

また、介護サービス利用者は前年度から53人増えて1,026人となりました。

一方、保険給付費総額は約18億2,478万円で、前年度からの増加は約1,440万円、率にすると約0.8%でした。

つまり、

「認定者は57人増え、サービス利用者も53人増えた。一方で、給付費の伸びは0.8%だった」

というのが令和7年度の特徴の一つです。

今後さらに後期高齢者が増えていくことを考えると、この認定者増加が一時的なものなのか、それとも本格的な増加局面に入ったものなのか、しっかり分析していく必要があります。

介護人材確保――実際の町内就労につながったのは何人か

私からはまず、「支えあいのまちづくり人材育成事業」について質疑しました。

町では介護人材を確保するため、

  • 介護職員初任者研修受講料への支援
  • 介護福祉士実務者研修への支援
  • 学生カイゴチャレンジ
  • 介護福祉士奨学金返還支援

など、複数の取組を実施しています。

そこで私が確認したのは、「いろいろな事業を実施した結果、実際に何人の新規就労や町内定着につながったのか」という点です。

町からは、

令和7年度の各種事業を通じて、実際に町内事業所への就労につながったのは、介護チャレンジ事業を経験した1人

との答弁がありました。

事業を何回実施したか、何人参加したかも必要な情報ですが、介護人材確保事業の最終的な目的は、やはり町内の介護人材を確保し、定着してもらうことです。

今後は「何人が制度を利用したか」だけではなく、「何人が就職し、その後も町内の介護現場で働き続けているか」まで追っていくことが重要だと考えます。

利用実績ゼロだった支援制度

もう一点確認したのが「介護福祉士奨学金返還支援」です。

令和7年度は、この制度の利用実績がありませんでした。

そこで、

「対象となる人がいなかったのか」

「制度の周知に課題があったのか」

「そもそも支援内容がニーズと合っていないのか」

といった観点から理由を確認しました。

町からは、令和7年度に奨学金を返還しながら町内事業所へ就職した対象者がいなかったため、実績がなかったとの説明がありました。

対象者がいなければ実績ゼロになるのは当然ですが、重要なのはその先です。

介護人材確保という大きな課題に対して複数の制度を用意している以上、制度をつくったこと自体を成果とするのではなく、実際の利用状況や就労・定着への効果を見ながら制度を見直していかなければなりません。

「事業を増やす」だけでなく、スクラップ・アンド・ビルドを

町は今後、SNSを活用した介護職の魅力発信や、外国人人材の定着に向けた新たな支援についても検討しています。

そこで私は、

新しい施策を追加するだけでなく、既存施策についても効果の低いものは見直し、事業全体をスクラップ・アンド・ビルドしていく必要があるのではないか

と質しました。

町からは、スクラップ・アンド・ビルドの視点は持ちながらも、既存事業については、

「芽室町は介護職員の雇用に力を入れている町であることを知ってもらい、選んでもらえる町にしたい」

との考えから、一定程度継続していきたいとの答弁がありました。

町の姿勢を示すことも一つの意味はあります。

ただ、限られた財源の中で実施する以上、今後はそれぞれの制度について、町内就労や定着という具体的な成果を検証していくことが必要だと考えます。

外国人介護人材は現在8人、さらに2人増える見込み

他の委員からは外国人介護人材についても質疑がありました。

町内では現在、8人の外国人が介護人材として就労しており、9月からさらに2人増える見込みとのことでした。

一方で、外国人人材の定着に当たっては住宅確保も課題になっています。

雇用促進住宅については入居期間が2年間に限られることや、民間賃貸住宅の確保に苦労するケースがあることも質疑の中で明らかになりました。

現在、民間アパートを探すのは基本的に介護事業者側が担っており、町として直接支援できる手立ては現状ではないとのことです。

町では、事業者からの要望も踏まえ、民間アパートの家賃に対する支援などを検討しています。

人材を「呼んでくる」だけではなく、芽室町で生活し、働き続けてもらうための環境をどう整えるかという段階に入ってきています。

介護人材確保は事業者同士の連携も

令和6年には、町内の介護保険事業所による「ケアネットめむろ」が設立されています。

令和7年度には事業者間の情報交換に加え、災害時を想定した取組も進められました。

町の総合防災訓練にも参加し、介護施設入所者の移送や避難所までの車両確保などを実際に想定した訓練を行っているとのことです。

また、学生とのワークショップでは、

「ワークライフバランスを重視した柔軟な働き方」

「資格取得支援が明確になっている職場環境」

などが、働く場所を選ぶ上で重要だという意見も出たとのことでした。

介護人材確保は行政の補助制度だけでは解決できません。

働きやすい職場をどうつくるかという事業者側の取組と、行政による支援を組み合わせていく必要があります。

介護予防は「参加人数」から、その先の成果へ

介護予防についても審査が行われました。

「まる元運動教室」では、介護予防を特に意識したい75~80歳を重点年齢としており、参加者の45.8%をこの年齢層が占めています。

町では、健康状態が把握できていない高齢者や、まだ介護予防事業につながっていない人への訪問などを通じて参加を呼びかけています。

令和8年度には、特に75歳を意識した講座も実施しているとのことです。

これは重要な取組です。

一方で、介護予防事業について今後さらに重要になるのは、

「何人参加したか」から「参加した結果、何が変わったか」への評価

だと考えています。

町自身も、介護予防事業を通じて健康寿命を延ばし、新規の介護保険申請をできるだけ先延ばしすることを目指しています。

令和7年度に要介護認定者が57人増加したことも踏まえれば、参加者の体力維持・向上だけでなく、その後の要介護認定やサービス利用まで中長期的に追っていくことが、これからの事業評価には必要です。

認知症サポーターから、地域全体の認知症施策へ

認知症施策についても質疑がありました。

令和7年度の認知症高齢者等SOSネットワークの事前登録者は20人となり、前年度から7人増えました。

相談に来た方に町から積極的に制度を紹介したことが増加につながったとのことです。

また、認知症サポーター養成講座については、学校でも継続して取り組んでいます。

今後については、現在策定を進めている第10期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の中に、新たに「認知症施策基本計画」を位置付ける方向で作業を進めているとの答弁がありました。

認知症への対応は、高齢者本人や家族だけの問題ではありません。

若い世代も含め、地域全体で理解を深めていくことが重要です。

配食サービスでは事業者撤退という課題も

高齢者食事サービス事業については、令和7年度の助成額が当初予算を下回った理由について質疑がありました。

利用食数の多かった方が施設へ入所したことや亡くなられたこと、新規利用者の中にはメニューが好みに合わず利用が定着しなかったケースなどが理由として挙げられました。

さらに重要な課題も明らかになりました。

食材費の上昇などにより事業者の経営環境が厳しくなり、令和8年度には町が契約していた2事業者のうち1事業者が撤退したとのことです。

現在は残る1事業者への移行を進めており、利用者についてはスムーズに移行しているとの説明でした。

配食サービスは単なる食事提供ではありません。

高齢者の栄養確保、見守り、フレイル予防、そして在宅生活を継続するための基盤でもあります。

だからこそ、利用者数だけでなく、サービスを提供する事業者側が持続できるのかという視点も重要になっています。

これから問われる「介護サービスを持続できる町」のあり方

今回の審査を通じて改めて見えてきたのは、介護保険を取り巻く課題は、それぞれ独立したものではないということです。

令和7年度は、要介護認定者が57人増え、介護サービス利用者も53人増えました。

介護を必要とする人が増えれば、サービスを提供する人材が必要になります。

一方で、人材不足が進めば、必要なサービスそのものを維持できなくなる可能性があります。

だからこそ、

介護予防によって元気に暮らせる期間を延ばす。
必要になったときには地域でサービスを受けられる。
そのサービスを担う人材を確保・定着させる。

この3つを一体として考える必要があります。

そして行政には、事業を実施したことだけではなく、

「その事業によって町民の暮らしがどう変わったのか」

という成果を検証することが求められます。

現在、町では令和9年度から始まる第10期介護保険事業計画の策定作業も進めています。

令和7年度に見えてきた認定者の増加、人材不足、介護予防、認知症、在宅サービスを支える事業者の持続性といった課題を、次の計画にどう反映していくのか。

引き続き確認していきたいと思います。