令和7年度決算審査では、国民健康保険特別会計についても審査を行いました。

今回、私が特に注目したのは、国保の被保険者数が減少している一方で、一人当たりの保険給付費は増加していることです。

そして審査を進める中では、単に「医療費が増えた、減った」という話だけではなく、

特定健診 → 早期発見 → 重症化予防 → 医療費

という一連の流れをどのように機能させていくのかが、今後ますます重要になることが見えてきました。

被保険者は208人減少、一方で一人当たり給付費は増加

令和7年度の国保の平均被保険者数は4,203人で、前年度の4,411人から208人減少しました。

保険給付費の総額についても、

令和6年度 約11億422万円
令和7年度 約10億6,881万円

と減少しています。

ところが、一人当たりの保険給付費を見ると、

250,269円 → 254,296円

と増加しています。

そこで決算審査では、この点について、

被保険者数が前年度から208人減少し、保険給付総額も減少している一方、一人当たりの保険給付費は増加している。この要因を町としてどのように分析しているのか。

と質疑しました。

町からは、一人当たり医療費は近年毎年増加傾向にあり、全国的な医療費単価の上昇が主な要因と捉えているとの答弁がありました。

さらに今後についても、被保険者数が減少していく一方、一人当たり医療費については上昇していくことが予測されているとの認識が示されました。

高額な医療費と「重症化する前に何ができたのか」

他の委員からは、高額療養費についての質疑もありました。

町の説明では、高額療養費に該当する方は全体として増加傾向にあり、令和7年度は特に高額な医療費がかかった方が前年度より1人増えたことも、一人当たり医療費を押し上げる要因になっているとのことでした。

印象的だったのは、その後の分析です。

町では、高額な医療費が必要となった方について、

「それ以前に予防できるタイミングはなかったのか」

という視点から、過去の健診受診歴や医療機関への受診歴などを確認しているとの説明がありました。

必要に応じて電話や面談につなげている事例もあるとのことです。

医療費が高くなってから数字を見るだけではなく、そこに至るまでの過程を振り返り、次の予防につなげていく。

国保の保健事業を考える上で重要な取り組みだと思います。

だからこそ重要になる特定健診

私からも続けて、

被保険者数が減少しても一人当たり医療費が上昇していくのであれば、特定健診や保健指導によって疾病の早期発見や重症化予防につなげることが、より重要になるのではないか。

という趣旨で質疑しました。

町からも、今後ますます特定健診を受けてもらい、重症化をできる限り予防する取り組みが重要になるとの認識が示されました。

一方、その特定健診には課題があります。

令和7年度は、

対象者2,716人
受診者1,023人
受診率37.7%

でした。

町では、毎年ではなく隔年のように受診する「まだら受診者」が一定数いることから、単年度だけではなく複数年度で受診率を見る必要があると分析しています。資料上も令和5年度36.9%、令和6年度41.4%、令和7年度37.7%という推移が示されています。

審査では、令和7年度の目標が43%だったことも確認され、11月に確定値が出るものの、現時点では目標達成は難しいとの答弁がありました。

受診勧奨を「した」だけではなく、実際の受診につながったか

町は受診率を高めるため、会計年度任用職員を配置して受診勧奨を強化しています。

令和7年度は未受診者等1,245人に対し、949人へ働きかけを行い、介入率は76.2%となっています。

会計年度任用職員に関しては、当初予算から最終的に約450万円が減額されていたことについても質疑がありました。

町からは、事業効果が出たため人員を減らしたわけではなく、採用した職員の家庭事情や勤務可能な時間などから、当初予定した勤務量を確保できなかったことによる減額だったとの説明がありました。

ここで今後重要になるのは、

「何人に受診勧奨したのか」だけでなく、「その結果、何人が実際に健診を受けたのか」

という視点です。

介入率76.2%は行政の活動量を表す数字です。

しかし、本来の目的は電話をかけたり案内したりすることではありません。

その働きかけによって住民の行動が変わり、実際の健診受診、疾病の早期発見、そして重症化予防につながることが目的です。

決算審査では、こうした「実施したこと」だけではなく、その結果何が変わったのかを見ることが重要だと考えています。

重症化予防では173人中167人に指導

一方、成果が見える取り組みもあります。

国保生活習慣病予防事業では、健診結果などから一定の基準に該当した方に対して、重症化予防のための保健・栄養指導を行っています。

令和7年度は対象173人に対し、実人数167人に指導を実施しました。

審査では、この高い実施率についても質疑がありました。

町では、決められた日程に来られない方には別日を設定したり、夕方以降の時間帯に対応したりするなど、できる限り直接会って指導できるよう工夫しているとのことでした。

さらに、指導して終わりではありません。

数値などから継続的な支援が必要と判断した方については、3か月後に状況を確認したり、レセプトデータからその後の医療機関受診を確認したりする場合もあるとの説明がありました。

これは非常に大切な視点だと思います。

最終的には「健康になったのか」を見る

今回の審査では、重症化予防事業を今後どのように評価していくのかについても議論されました。

町からは、データヘルス計画や健康づくり計画に基づき、

血液データの改善
生活行動の変化
一人当たり医療費
健康寿命
介護認定の時期や認定率

など、短期・中期・長期の目標を連動させながら評価していきたいとの考えが示されました。

私は、この考え方は国保だけでなく、行政の多くの事業に共通して重要だと考えています。

例えば、

「949人に受診勧奨した」

「167人に保健指導した」

という数字は、もちろん大切です。

しかし、それだけでは最終的な成果は分かりません。

健診を受ける人が増えたのか。
必要な治療につながったのか。
生活習慣が改善したのか。
重症化を防げたのか。
結果として健康で暮らせる期間が延びたのか。

そこまでつなげて評価していく必要があります。

国保決算から見えた今後の課題

今回の決算審査を通じて見えてきたのは、被保険者数が減少すれば、そのまま国保の課題が小さくなるわけではないということです。

むしろ、

被保険者は減少する

一人当たり医療費は上昇する

高額な医療や重症化への対応がより重要になる

特定健診による早期発見が重要になる

健診後の保健指導・医療機関受診につなげる

重症化を予防する

という一連の取り組みを、より機能させていかなければなりません。

そして決算審査で問うべきなのも、「事業を実施したか」だけではなく、その事業によって町民の健康や行動がどう変わったのかだと思います。

令和7年度の特定健診受診率37.7%は、目標43%には届かない見込みです。

一方で、重症化予防の保健・栄養指導では対象者の多くにアプローチし、その後のフォローまで行われています。

こうした成果と課題の両方を捉えながら、限られた人員と財源の中で、より効果の高い予防施策へつなげていくことが重要です。

今後も、単年度の数字だけを見るのではなく、「予防への投資が、町民の健康と将来の医療費にどうつながったのか」という視点を持って確認していきたいと思います。