令和7年度決算審査では、公立芽室病院事業会計についても審査が行われました。

公立病院は、単純な採算性だけでは測ることのできない役割を担っています。一方で、地域医療を将来にわたって維持するためには、持続可能な経営も欠かせません。

今回の審査では、病床利用率や入院患者数が改善する一方で赤字が続く病院経営について、入院・外来の状況、人件費、99床への病床削減、現金残高など、さまざまな角度から質疑が行われました。

入院患者は増加、病床利用率も85.8%へ

令和7年度の入院延べ患者数は33,118人で、前年度から1,789人増加しました。

病床利用率も前年度の80.2%から85.8%へ上昇しています。

一方、患者1人1日当たりの入院収入は28,176円から27,339円へ、837円減少しました。

この点について委員から、病床利用率が改善している一方で診療単価が低下している理由と、今後どのように収益確保につなげていくのか質疑がありました。

当初、病院側からは人件費など費用増加の影響との答弁がありましたが、その後、答弁の訂正がありました。

病院側の分析では、入院期間が長くなったことによって、それまで算定できていた加算の一部が取れなくなり、1日当たりの入院収入が低下したとのことです。

また今後については、他の病院や施設との地域連携を進め、新規患者の受け入れにつなげることで、病床利用率の維持だけでなく、診療報酬上の加算などによる診療単価の向上も目指していく考えが示されました。

病院経営を見るうえでは、単純な病床利用率だけではなく、在院日数や患者1人当たりの診療収入も併せて見ていく必要があることが分かります。

外来患者は3,541人減少

一方、外来延べ患者数は57,101人で、前年度から3,541人減少しました。

委員から減少要因について質疑があり、病院側からは、新型コロナウイルス関連の検査患者が年間で3割近く減少したことが大きな要因として挙げられました。

また、コロナ禍に感染リスクを避けるため通院間隔を延ばした患者について、症状に問題がなければ現在もその間隔を維持しているケースがあるとの説明もありました。

そのため、外来患者数の減少を単純な「患者離れ」と見るのではなく、感染症関連需要の減少や受診行動の変化も含めて捉える必要があります。

今後については、病院が力を入れている回復期病床や在宅医療などを強みとして、広報や出前講座などを通じて町民に知ってもらい、病院をより身近に感じてもらう取組を続けていく考えが示されました。

99床への削減で特別交付税約5,000万円増を見込む

今回の審査では、病床数を99床とした経営判断についても質疑が行われました。

99床への変更は令和8年2月からであるため、令和7年度決算への直接的な影響はまだ限定的との説明です。

一方で、99床以下とすることによって、特別交付税が約5,000万円増える見込みであることが病院側から示されました。

また、スタッフ不足などにより3階病棟を休床しており、その病床を今後活用する見込みが立たなかったことも99床化の要因の一つとのことでした。

つまり、今回の病床削減には、実際の運用状況に病床規模を合わせることに加えて、財政措置を有効に活用するという側面もあったことになります。

さらに病床を減らす可能性についても質疑がありましたが、現在は高い病床利用率となっていることから、単純に病床数を減らせばよいという状況ではないこともうかがえました。

給与費は約1億3,400万円増加

令和7年度の病院事業会計では、給与費が前年度から約1億3,400万円、9%増加しました。

病院側の説明では、正職員の給料・手当の増加が約2,700万円だったのに対し、会計年度任用職員の報酬は約5,800万円増加しています。

正職員についてはベースアップ、会計年度任用職員については制度改正によって従来の期末手当に加えて勤勉手当が支給されるようになったことなどが主な要因です。

年度末時点では94人の会計年度任用職員を雇用しており、病院側は医療・看護を支える重要な人員であると説明しました。

一方、人件費が右肩上がりで増加していることについては「重く受け止めている」とし、単純な人員削減ではなく、業務量に応じた適正配置、医療職種間の協力、働き方改革、DXなどによる業務効率化を進めていく考えが示されました。

現金は約1億5,000万円減少、その理由は

病院の現金残高についても質疑がありました。

令和7年度末の現金残高は約7億8,600万円となり、前年度から約1億5,000万円減少しています。

病院側は主な理由として、

  • 前年度分の未払金を令和7年度に支払ったこと
  • 年度末時点の診療報酬などの未収金が増えたこと
  • 施設・機械などの整備に伴う資本的支出

を挙げました。

診療報酬の未収金については入金時期のずれによる部分が大きく、その後回収されたことで、7月末には現金残高が8億円を超えているとの説明もありました。

さらに、病院経営上どの程度の現金を確保しておく必要があるのかとの質疑に対し、病院側は、月によって3億円から4億円程度の支出が発生することなどを踏まえ、病院建て替えなどを考慮しなければ、4〜5億円程度を保有していれば一定の安全性があるとの認識を示しました。

将来的な施設更新まで考えれば、今後は中長期的な資金計画も重要になってきます。

約9,188万円の純損失。地域医療と経営をどう両立するか

令和7年度の病院事業会計は、医業収益約17億110万円に対し、医業費用は約23億351万円となり、医業損失は約6億2,400万円。医業外収益などを加えた最終的な純損失は9,188万1,327円となりました。

審査では、収益性だけでは評価できない公立病院としての役割についても議論されました。

病院側からは、診療報酬改定に伴う新たな加算の算定や入院基本料の見直しなどに取り組んでおり、より高い施設基準を満たすことが、収益確保だけではなく医療の質の向上にもつながるとの考えが示されました。

公立病院の経営を考えるとき、「赤字だから縮小する」「人件費が高いから職員を減らす」という単純な議論では済みません。

今回の審査からは、病床利用率、在院日数、診療単価、適正な病床規模、人員配置、財政措置、手元資金などを総合的に見ながら、地域に必要な医療を持続可能な形で提供していく必要性が見えてきました。

令和7年度は、病床利用率の改善など成果が見られた一方、約9,200万円の赤字や人件費の増加など、引き続き検証すべき課題も残っています。

公立芽室病院に求められる医療機能をどこまで、どのような体制で守っていくのか。

単年度の黒字・赤字だけではなく、地域医療の役割と経営の持続可能性の両面から、今後も経営状況を見ていく必要があります。